★橋野知子(経済学研究科・教授)
清水泰洋(経営学研究科・教授)
平野恭平(経営学研究科・准教授)
本研究の目的は、日本毛織株式会社(ニッケ)の企業資料の分析により、日本における羊毛工業という新産業の導入・定着・発展を考察するとともに、それを可能とした社会制度を経済史・経営史的に解明することにある。これを通じて、どのような制度がイノベーションを創出してきたのかという問題に光を当てることが可能となる。本学経営学研究科に委託されているニッケ資料は、人事、生産・技術、財務、直接投資等を明らかにするものである。研究蓄積のある繊維産業の中でも、羊毛工業は最も分析が遅れており、これを進めることは日本の近代化におけるイノベーションの実態の解明につながる。とりわけ、本資料には、戦前から戦後までの人事労務関係の資料が含まれており、一社の事例であっても極めて濃密な研究となろう。将来的に本研究プロジェクトは、経済史・経営史だけでなく労働経済学や人的資源管理等、学際的な融合研究へと進展可能と考えられる。
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