Ⅴ 社会制度研究部門

④リスクと社会制度の研究

甚大災害リスクに頑健な経済・社会システムの構築への提言
構成メンバー
(★はプロジェクトリーダー)

★堀江進也(経済学研究科・准教授)
地主敏樹(経済学研究科・教授)
萩原泰司(経済学研究科・教授)
勇上和史(経済学研究科・准教授)
田中喜行(経済学研究科・講師)
奥村誠(東北大学災害科学国際研究所・教授)
海野晋吾(高知大学人文学部・講師)
上條良夫(高知工科大学経済マネジメント学群・教授)
新井理有(高知工科大学経済マネジメント学群・講師)
Kotter, Richard(ノーザンブリア大学地理学研究科・教授)

研究の目的と概要

本研究は、甚大災害リスク緩和のための居住地移転に関する提言を目標とする。高知県のような巨大地震に伴う津波被害が予想される地域においては、居住地の高台移転についての議論が進められている。これまでに経済学・災害科学の観点から、人口移動は長期的に災害リスクを低下させるように起こっていることが定量的に示されている。しかし、住民が土地に愛着がある場合や、移動後の労働環境に不安を持っている場合には人口移動が起こりにくいことが定量的に示されてきた。しかし、その一方で、東日本大震災の後の宮城県南三陸町などでは、自発的な内陸への居住地と経済活動拠点の比較的円滑な移転のケースも観察されている。このような分析の帰結と新たに観察された事象の差異を埋め、新しく理論的枠組みを構築することが、自然災害に頑健な社会システムの構築の一助となることが期待される。同時に、今後の南海トラフ地震に伴う津波被災が予想されている地域における居住地移転を困難にする要因を分析することで、実践的な政策提言を行うことも企図している。