IT化とビッグデータの蓄積・利用をめぐる社会システム研究部門 金融×IT(フィンテック)がもたらす社会変革に関する研究*

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★藤原 賢哉(経営学研究科・教授)
 家森 信善(経済経営研究所・教授)
 山田 誠一(法学研究科・教授)
 佐藤 隆広(経済経営研究所・教授)
 地主 敏樹(関西大学総合情報学部・教授)
 西尾 圭一郎(愛知教育大学教育学部・准教授)
 劉 亜静(広島修道大学経済科学部・准教授)
 中岡 孝剛(近畿大学経営学部・准教授)
 池尾 和人(立正大学経済学部・教授)
 瀧 俊雄(株)マネーフォワード・取締役)

研究の目的と概要

海外では、FinanceとTechnologyの融合(いわゆる「フィンテック」)によって社会のあり方が大きく変わりつある。ITを活用したベンチャー企業や大手IT企業(GAFAやBAT)の参入により、決済手段のデジタル化(いわゆるキャッシュレス化、中央銀行のデジタル貨幣・リブラ等の暗号資産の議論)、既存金融業の高度化・アンバンドリング化(審査のAI化、会計クラウド活用、銀行APIの開放、勘定系システムのオープン化(クラウド化)、および他産業(流通・通信・公共交通)との融合など、金融サービスが、他の様々なサービス(医療、流通、教育、移動、娯楽、公共サービス)と融合し、デジタル社会における社会基盤を構築しつつあるように思われる。こういった傾向は、これまで、(社会インフラが十分に整備されていなかった)途上国で観察されていたが、今般の新型コロナウィルスの影響に伴い、わが国を含めた先進各国においても、今後、急速に普及発展する可能性が高い。                                                                                                           わが国では、旧来の縦割り型の経済構造(業態毎での事業範囲、縦割り規制・行政、事業会社の縦割り組織(元受け・下請け構造)を前提として、様々な社会制度が設計・運用されてきたが、日本が抱える経済課題(少子高齢化、人口減少、イノベーション・新陳代謝の低迷)を考慮するならば、従来の枠組みを超えたデジタル社会への移行は不可欠であると考えられる。金融サービスが来るべきデジタル社会において重要な役割を担うとすれば、金融×ITがもたらす変革の影響の範囲と課題(個人情報保護との両立、リテラシーの育成、マクロ金融経済への影響など)、目指すべき未来のあり方(ライフスタイル提案)、などの問題について、社会科学横断的・文理融合的視点から検討を行うと共に、具体的な社会実装にむけての情報発信・産学連携等を一層進める必要がある。
 コロナを契機として、社会のあり方が大きく変わる可能性がある。金融のIT化は、わが国社会全体のデジタル化(ライフスタイルや働き方の変化、事業者側の供給構造の変化(店舗やバックオフィス業務・請求書の電子化、行政サービスの電子化)など大きな社会変革もたらす可能性が高い。本研究プロジェクトは、信用保証協会という、もっともコロナで利用者が急増した領域に関して、1)保証協会側の対応、BCPあり方、2)申請者の動向、3)過去の震災・金融危機時との違い、4)今後の見込み、について、あるていど分析対象を絞って研究調査に従事したい。

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