IT化とビッグデータの蓄積・利用をめぐる社会システム研究部門 企業のサステナビリティの研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★伊藤 宗彦(経済経営研究所・教授)
 西谷 公孝(経済経営研究所・教授)
 髙槻 泰郎(経済経営研究所・准教授)

研究の目的と概要

前プロジェクト(計算機と社会)では、科研費基盤研究Aを獲得し、神戸大学に所蔵される鐘紡資料のデジタル化、データベース化、分析に取り組んだ。鐘紡資料は、明治期から1160年に渡る社内資料を網羅しており、株主、従業員、取引先などステイクホルダーへの価値増大と会社の成長を目指す企業の経営スタイルを分析することにより、日本型コーポレート・ガバナンスの研究を行えるものである。ただし、こうした研究を始めるには大きな課題があった。会社創業後の明治期には、人事制度、工場の新設、機械の発注、営業所の開設、など、現在の会社システムと同様の決済事項が見受けられる。決済事項の細目、人事事項、社長の就任期間、会社の売り上げ規模、株主総会の議事録などの膨大な資料は、ほとんどが手書き資料であり、分析を行うには、分類・データベース化することが課題であった。この課題は、大きく二つの技術的課題を含んでいた。まず、資料のテキスト化であり、そのデータベース化である。テキスト化は、特許出芽も果たしたが、手書き資料のデジタル化技術、最新のOCR機器を導入することによって大量のデータのテキスト化を達成した。またそのデータベース化も最新のサーバーとデータソフトウエアを導入し、研究用データベースを構築した。膨大な資料のテキスト化、データベース化をほぼ終えたのが、前回のプロジェクトである。そこで、新たに、本研究では、デジタル化、データベース化した膨大な資料を、データ解析を行うことを狙いとしている。さらに、研究目的として。作成したデータベースを活用して、経営資料のビッグデータの定性、定量分析にテーマを拡張していきたい。具体的には、企業経営者の様々Statementなど、あるいは、鐘紡のような歴史ある企業の長期に渡る経営情報など、時間軸と共に、大規模データの分析に取り組みたい。また、鐘紡の分析と並行して、世界のサステナブル企業のコーポレートガバナンスの仕組みを分析し、サステナビリティの要件について知見を得ることをプロジェクトの目的とする。本研究は探索的な研究としてスタートし、科研費基盤研究Bの研究として発展させていきたい。

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