グローバル市場主義の社会的経済的インパクトに関する研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★上林 憲雄(経営学研究科・教授)
 庭本 佳子(経営学研究科・准教授)
 江夏 幾多郎(経済経営研究所・准教授)
 三井 泉(経営学研究科研究員・准メンバー)
 浅井 希和子(園田女子大学経営学部助教・准メンバー)

研究の目的と概要

 ここ十数年,英米流の新自由主義的な思想・政策に端を発する「グローバル市場主義」の急速な普及浸透が,日本の企業・社会に大きな影響を及ぼしている。本研究課題は,この「グローバル市場主義」が日本企業の各側面および日本社会へ及ぼす総体的なインパクトとその意義・問題点を具体的に検討し,それらを踏まえた新しい学問体系とアプローチを構想しようとするものである。
 しかしながら,こうした「グローバル市場主義」が日本の企業経営や社会へ及ぼす影響を包括的に取り纏め,総合的な観点からその経営へのインパクトを検討しようとした経営学的研究はほとんど存在しない。とりわけ,グローバル市場主義がもたらす負の側面をも包含した形での研究は,現下の経営学研究において,企業が競争優位を獲得するための戦略をいかに立て利益を上げる組織体制とするかに焦点が当てられるあまり,ほぼ手つかずとなっている感が強い。業績至上主義がはびこり,結果(数字)重視の本末転倒な組織運営も散見される中,人間相互の信頼を基礎においた「日本的経営」は半ば“風前の灯火”状態となっている。結果,日本企業は各社とも自信を喪失し,改革するにしてもどこから手を付ければよいか分からず,頭を悩ませている経営者も多い。学術教育や病院経営など本来であれば市場機構とは馴染まない非営利事業の運営にも,グローバル市場主義の発想法が取り込まれ,一部に負の影響がもたらされており,社会的に大きな問題と化しつつある。
 本プロジェクトでは,こうした日本企業社会の現況及び学術的背景を踏まえ,経営学・経済学・社会学・心理学の視座から学際的にアプローチを試みるものである。本年度は,とりわけ日本企業における人員の適正配置にまつわる諸問題を中心に学際的な検討を行う。

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