企業資料の再検討による経済史・経営史の融合的研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★平野 恭平(経営学研究科・准教授)
 橋野 知子(経済学研究科・教授)
 清水 泰洋(経営学研究科・教授)
 勇上 和史(経済学研究科・教授)
 市原 博(獨協大学経済学部・教授)
 菅山 真次(東北学院大学経営学部・教授)
 角 裕太(広島経済大学経済学部・助教)

研究の目的と概要

本研究プロジェクトの目的は,羊毛工業という新しい産業が,近代以降の日本にいかに導入・定着し,成長・発展したのかというテーマについて,業界でも代表的な日本毛織株式会社(ニッケ)の一次資料に基づいて明らかにすることである。経済史・経営史の分野では,絹や綿といった繊維の産業発展に関してはすでに多くの研究蓄積がある。しかしながら,明治以降に日本に導入された近代産業にもかかわらず,十分に研究がなされてこなかったのが羊毛工業であり,それに着目するのが本研究の特色である。従来,国民生活での羊毛の重要性の認識の欠如と資料面の制約のため,羊毛工業の分析は手薄であった。そこで,本研究プロジェクトでは,ニッケから寄託された一次資料を分析・考察するため,様々な分野を専門とする研究者が集まり,日本での近代産業の形成に関わる重要な一側面を明らかにする試みである。一次資料を利用した分析・考察はいくつかの側面からなり,構成メンバーの比較優位に基づいて研究を進める。すなわち,①新産業を移植・定着させようとする企業家,②新技術の移植・形成・発展に関連する多様な問題,③企業の日々の営みを記録する会計の近代化あるいは「日本化」,④企業の内部労働市場の形成,⑤ホワイトカラーとブルーカラーのキャリア・パスの分析,⑥企業の労務システムの形成などである。なお,本研究の成果は,2021年度に社会経済史学会(於:神戸大学)の自由論題報告で一部を報告する。また,新型コロナウイルスの影響により流動的ではあるが,国際学会での報告も可能であれば行い,海外の専門家を交えて議論し,幅広い方法で内外への発信を目指したい。

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