構成メンバー
★はプロジェクトリーダー
★衣笠 智子(経済学研究科・教授)
羽森 茂之(経済学研究科・教授)
勇上 和史(経済学研究科・准教授)
増本 康平(人間発達環境学研究科・准教授)
安田 公治(青森公立大学経営経済学部・講師)
研究の目的と概要
新型コロナウイルスに流行に伴い,多くの人々の生活・消費パターンが変わったことは明白であるが,寿命観の変化については,あまり注目されていないであろう.寿命が貯蓄行動に影響することは,かつてから統計資料の平均寿命のデータ等を用いて実証されてきたが,個々人のデータは取りにくく,また,個々人が寿命をどう認識しているのかは,十分に調査がなされてこなかった.特に,新型コロナウイルスの流行で,人々の寿命の認識が変化すると,貯蓄行動にも影響があると思われる.
本研究では,アンケート調査を行い,新型コロナウイルスの流行に伴って,寿命や死亡率に関する感覚がどう変わったのか,具体的に,近いうちに自分が死亡する確率が上昇したと感じられるか,寿命が縮まったように感じるかなどを尋ね,コロナ流行の寿命観への変化の影響を把握することにする.そして,その行動が,貯蓄行動にどう影響するかを計量的に分析する.経済学を中心とした研究を行うが,心理学や他分野の立場からも考察することにする.
新型コロナウイルスの問題は,数年は継続すると思われ,終息したとしても,そこで身についた消費や貯蓄の性向は継続する可能性がある.また,貯蓄は大きく経済成長に影響するため,貯蓄行動の変化は,マクロ経済成長に大きな影響を及ぼすと思われる.本研究の成果は,今後の貯蓄の動向を示唆することができ,老後資金問題にも重要な提言をすることができると予想される.