多様な人間社会における信頼・協力・公平性に関する実験研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★瀋 俊毅(経済経営研究所・教授)
 下村 研一(経済経営研究所・教授)
 高橋 広雅(広島市立大学国際学部・教授)
 Yongyou NIE(上海大学経済学部・教授)

研究の目的と概要

世界に先駆けて完全な人口減少社会に突入した日本で、現在の経済水準を維持していくためには、現在より多くの外国人労働者の受け入れへの取り組みは必至と考えられる。このような背景から、今後ますます多様になる日本社会では、日本人と異なる文化や価値観を持つ外国人との間にどのように信頼・協力・公平性を含む良好な関係を構築するかは重要な課題になってくる。本研究はその課題のための基礎研究でありたいと考える。経済学では、さまざまなゲームの実験を用いて人々の社会選好(social preference)を測る。例えば、最後通牒ゲーム(ultimatum game)の実験で人々の公平性を測り、信頼ゲーム(trust game)の実験で人々の信頼を測り、公共財ゲーム(public goods game)の実験で人々の自発的協力を測定する。これまでの信頼・協力・公平性に関する実験研究では、これらの社会選好に影響を及ばす被験者の個人属性(性別や年齢、大学における専門など)を考慮していたものもあったが、多くの先行研究では被験者の個人属性が考慮されていなかった。したがって、本研究の「問い」は主に以下の3つである。第一は、被験者の多様な個人属性が信頼・協力・公平性にどのような影響を与えるのか、である。第二は、多様な個人属性が信頼・協力・公平性に与える影響は日本人と日本社会にいる外国人においてどのような違いがあるか、である。第三は、日本社会に混在する外国人と日本人との間(多様な人間社会)にどのように信頼・協力・公平性を含む良好な関係を構築するのか、である。本研究の目的は、上記の3つの問いに対する回答を探ることで、多様な人間社会になりつつある日本社会において、人々の信頼・協力・公平性をより一層生み出すための提言を行いたい。

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