経営者交代と会計情報の関連に関する研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★榎本 正博(社会システムイノベーションセンター・教授)
 藤山 敬史(経済経営研究所・講師)
 木村 史彦(東北大学大学院経済学研究科・教授)
 山口 朋康(東北学院大学経営学部・教授)

研究の目的と概要

経営者交代は経営者を規律付けるコーポレート・ガバナンス・メカニズムとして経営者報酬とならび重要な機能を果たしている。その機能を果たすために大きな役割を果たすのが会計数値である。会計数値は経営者報酬においても利益連動型報酬制度といった観点からも主要な地位を占め,経営者交代においても会計数値が参照されていることは報道等でもよく見られる。一方,わが国の証券市場に海外資金を呼び込み国際金融市場として活性化させることを目的として,2000年以降コーポレート・ガバナンス改革が連続して行われ,現在でも進行中である。例えば,系列の弱体化に伴う,株主としての銀行,持合の減少,これに対応した海外投資家の増加などの株主構成の変化,社外取締役の導入の取締役会の強化等によるコーポレート・ガバナンスの変容がある。これらは会計数値にも影響を与えることが知られており,従って,その変容は会計数値と経営者交代の関係に大きな影響をもたらすことになろう。こういった背景を基礎に,(1) そもそもの会計数値による経営者交代の規律付けを検討するために,会計数値と経営者交代の関係を分析する。そこで得られた関係にコーポレート・ガバナンスの変容がどのような影響を与えているかを検討する。(2)会計数値の経営者交代に与える影響を前提とすると,その主たる評価対象である会計利益を機会主義的に動かすための経営者が行動が発生することが示されてきた。本研究ではそのような行動について,コーポレートガバナンスの機能強化がどのように影響するかを探ることを目的とする。
さらに(1),(2)を基本とするが,追加として(3)経営者交代は会計数値の質の変化を通じて資金調達にも影響を与える。資金調達の変化は企業の投資行動にも影響を与えうる。この企業の投資行動の変化にも着目する。本研究の成果は,会計情報の提供システム,コーポレートガバナンス機能強化という社会課題に対する政策提言ひいては社会実装につながると考えられる。

 

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