国際的コミットメントの国内履行に関する実証研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★藤村 直史(法学研究科・教授)
 栗栖 薫子(法学研究科・教授)
 砂原 庸介(法学研究科・教授)
 松村 尚子(法学研究科・准教授)
 河村 有介(国際協力研究科・助教)
 SUN Fanglu(Fudan University School of International Relations and Public Affairs・Assistant Professor)

研究の目的と概要

【分析対象】国家は、国際社会において、安全保障、経済、公衆衛生、環境などをはじめとしたさまざまな分野において、他国や国際組織との間に公約(コミットメント)を交わす。一方で、こうしたコミットメントを履行するためには、国内においての具体的な実施が必要である。

【問い】本研究は、①国家は国際コミットメントをどの程度履行しているのか、②何が国家の履行と不履行に影響を与えるのかという2つの問いを解明することを目的とする。

【分析】この問いを解明するために、国際連合、国会、地方議会という3つのレベルの組織での政策形成過程を、テキスト分析を用いて検討し、3組織の間の政策の一致度を検討する。具体的には、まず国連における各国のスピーチを分析することで、国家が国際社会でどのようなコミットメントを行っているのかを把握する。次に、国・地方両レベルでの、議会での政党や議員の発言、選挙における公約を分析し、国際的コミットをどのように国内での実施に移しているのかを研究する。

【貢献とセンターの設立目的への合致】本研究は、①社会問題の解決、②先端的実証研究、③その一般化・理論化というセンターの趣旨に強く合致する。①社会問題の解決については、国家は例えば温室効果ガス排出規制や財政健全化などの国際コミットメントをしばしば遵守できず、国際的信用を失墜させる。同時に、過度の国際公約は国内の公的・私的部門の活動に制約を与える。本研究は、国家が国際コミットメントを履行する条件を示し、こうした問題への現実的解決策を示す。②先端的実証研究については、本研究は近年急速に進展しているテキスト分析を用いることで、従来客観的に測定できなかった国家の行動を定量的に理解すると同時に、テキスト分析の適用可能性を大幅に広げる。③一般化・理論化についても、多くの国に適応できる理論と再現可能性の高い実証分析を提供する。このように、本プロジェクトは、グローバル化における国家の役割と行動への国内の政治システムの影響を検討しており、「社会制度研究部門」の「グローバル化と社会制度の研究」に合致する。

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