少子高齢化社会における賃金格差の要因と対応策に関する実証的研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★勇上 和史(経済学研究科・教授)
 中村 健太(経済学研究科・准教授)
 佐野 晋平(経済学研究科・准教授)
 田中 喜行(経済学研究科・准教授)
 李 慧慧(経済学研究科・講師)
 柴本 昌彦(経済経営研究所・准教授)
 岡島 成治(大阪経済大学経済学部・准教授)
 岡島 広子(名古屋大学経済学研究科・講師)
 宮 昊君(神戸国際大学経済学部・講師)
 姜 茗予(復旦大学国際問題研究院・助理研究員)
 森本 敦志(経済学研究科・研究員)
 池山 聖子(経済学研究科博士課程後期課程)
 川島 聖也(経済学研究科博士課程前期課程)

研究の目的と概要

 本研究プロジェクトでは、労働者間の賃金格差の要因ならびに再分配に係る諸施策の効果の検証を通じて、人口減少と高齢化が進む日本の経済社会におけるイノベーションの創出、ならびに再分配政策のあり方について検討することを目的とする。
 日本における所得分配を巡っては、1990年代以降、労働者間の賃金格差は安定的に推移する一方で、その背後に「事業所間」の賃金格差の拡大と「事業所内」の賃金格差の縮小が確認されており、事業所や企業による生産活動の異質性の内実を明らかにする必要性が指摘されている。また、世帯所得の格差についても、税や社会保障による再分配と、世帯構成の変化や高齢化といった人口構造の変化を考慮すれば、過去20年間で大きな変化はみられない一方で、所得分布の下位の分厚さを表す「相対的貧困率」が上昇傾向にあることが確認されている。中でも、未成年者を抱える世帯の貧困率が上昇していることから、貧困の世代間連鎖を抑止するための政策的対応が課題となっている。
 以上の課題に答えるため、本研究では、企業の生産活動と個人に対する分配政策の大きく2つの観点から共同研究を行う。具体的には、第1に、格差の要因に係る研究として、公的統計等の企業調査と個人調査のミクロデータを活用した個人間賃金格差の要因分析ならびに企業間の生産性格差に関する実証研究を行う。第2に、格差に対応する政策として、公的統計のミクロデータならびに地域単位の集計データ等を活用し、最低賃金制度による所得保障政策や、子どもの貧困と学力格差の縮小に係る施策の効果の検証、である。これらを通じて、少子高齢化社会における生産と分配に係る施策のあり方を提案する。


 

年度別アーカイブ

旧サイト年度別アーカイブ