コロナ禍での交通需要の激減と回復:国際比較を視野に入れて

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★三古 展弘(経営学研究科・教授)
 水谷 淳(海事科学研究科・准教授)
 松尾 美和(経済経営研究所・准教授)
 安達 晃史(大阪産業大学経営学部・准教授)

研究の目的と概要

 新型コロナウイルスの流行により、鉄道をはじめとする交通需要は激減した。本研究では、この需要の減少と今後の回復見込みについて、検討することを目的としている。
 研究メンバーのうち、三古、水谷、安達は、関西鉄道協会都市交通研究所において、「新型コロナウイルスの影響をふまえた交通需要予測委員会」のメンバーとして、関西の鉄道事業者と意見交換を行ってきた。また、三古、水谷が参画して、現代経営学研究所第110回ワークショップ「コロナを機に国土が変わる、社会が変わる-不動産と鉄道から見える人々の本源的需要」を開催した。都市交通研究所の先述の委員会は終了し、現在報告書をまとめているところであるが、その後継委員会の設置の議論が進んでいる。本研究メンバーからもその委員会へ委員を出す見込みである。関西地域の鉄道事業者とともに実際のデータも使って分析・議論できる機会もあるため、実際の問題の解決に直結する研究課題であるといえる。また、本研究メンバーとその所属からも分かるように幅広い学術分野からの貢献が期待できる。なお、本研究課題は、社会システムイノベーションセンターの「テレワークに着目したポストコロナ時代の生活意識調査」として行われていたものとも関係している。そこで入手したデータも分析に活用できる。
 さらに、本研究は国際比較も視野に入れることに特徴がある。松尾はこれまでも米国データを用いた交通行動研究を行ってきており、また2022年12月までのUCLA滞在を通じてコロナ禍を通じての公共交通需要の変化に関する議論を現地教員と行ってきた。安達は、「公益事業分野(交通・情報通信)におけるインフラ整備の効率性と公共性」をテーマとする国際共同研究チームの立ち上げに携わっており、The European Liberal Forum (ELF)の協力を得て、仏国を中心とする欧州研究者グループとの共同研究体制を整えている。また、英国リーズ大学は三古も2年間滞在したことがあるとともに、水谷も現在、同大学の教員と一緒にわが国とEUの鉄道事業について共同研究を行っており、本研究で日米欧の国際比較を遂行するための研究基盤はすでに整備されている。
 実際のデータを用いることで、交通需要の本質理解につなげ、今後の交通政策への知見を得ることが貢献となる。

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