国家戦略特区と法的規制-医療産業都市の創生へ向けて

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★角松 生史(法学研究科・教授)
 池田 千鶴(法学研究科・教授)
 金子 由芳(社会システムイノベーションセンター・教授)
 川島 富士雄(法学研究科・教授)
 季 衛東(上海交通大学日本研究院・教授)
 櫻庭 涼子(一橋大学法学研究科・教授)
 島並 良(法学研究科・教授) 
 砂原 庸介(法学研究科・教授)
 ソ・ヌリ(法学研究科・研究助手)


研究の目的と概要

 神戸市ポートアイランドにおける医療産業都市が構想され、国家戦略特区法による各種の規制緩和措置が期待されている。ただ特区手法により既存法規のあらゆる適用除外が可能になるわけではなく、法治主義の基本的要請により一線が画される。また特区の効果として日本の規制が緩和されても、無法地帯となるわけではなく、WTO諸協定を含む国際規制を排除することはできない。たとえば医工連携による先端的製品開発に成功し、海外輸出を図る段階で、特区における優遇措置がWTOの貿易の技術的障害に関する協定や補助金協定の違反として、貿易紛争を惹起する恐れがある。また特区における人権・倫理・環境社会配慮の課題をめぐっては、アジア諸国の特区の先例で米国国務省人権報告書で人権侵害として問題化し、また逆にこうした批判をかわす規制強化が投資家・国家間紛争(ISDS)を惹起する例も散見される。本研究においては神戸大学の法学・政治学領域の研究者が医工学と連携し、特区をめぐる法的課題を改めて整理・検討することにより、医療産業都市構想を合法的で発展性のあるものとするよう提言を行う。具体的には、(1)特区制度の限界・課題について行政法学からの考察、(2)日本の特区に及ぶ国際規制について国際経済法からの考察、(3)企業セクターによる規制緩和論が聞かれる知的財産権法や競争法その他の主な法分野における検討、(4)海外の特区事例についてアジア法研究からの考察、の4つのサブプロジェクトから成り、研究成果を踏まえて年度内に国際シンポジウムを開催する。

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