国際価値連鎖(GVC)と新興国における新しい産業政策

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★佐藤 隆広(経済経営研究所・教授)
 梶谷 懐(経済学研究科・教授)
 村上 善道(経済経営研究所・教授)
 高田 彩夏(経済経営研究所・学術研究員)
 Yasmin Nur Nahar(国際協力研究科・大学院学生)
 大西 真生(国際協力研究科・大学院学生)

研究の目的と概要

 国民の多くが貧困に依然として苦しんでいる発展途上国にとって、持続的な高い経済成長は必須である。とくに、「東アジアの奇跡」と呼称される東アジアにおける経済発展から得られる教訓は、発展途上国企業の国際価値連鎖(Global Value Chains: GVC)への参加とそのアップグレーティング(Upgrading)を通じた輸出志向の労働集約型工業化の重要性であった。この点で、発展途上国のGVCへの参加とアップグレーティングは世界の貧困問題の解決にとって依然として有効である。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻・台湾海峡をめぐる軍事的緊張・イスラエルを始めとする中東情勢の不安定化などの地政学的リスクの顕在化にともない、現在、多国籍企業が主導してきた既存のGVCが大幅な再編を余儀なくされている。GVCの再編は市場メカニズムだけではなく、先進国と新興国の両者の産業政策にも強く影響されている。先進国では、例えば、半導体産業に関する米国のCHIPS法や日本の経済産業省による「経済産業政策新機軸」が、新興国では、例えば、中国の「中国製造2025」や「インドの生産連動インセンティブ計画」(Production Linked Incentive Scheme)などが、新しい産業政策として注目されている。本研究プロジェクトは、GVCの再編を念頭において、インドや中国を始めとする新興国における新しい産業政策に注目し、この新しい産業政策が(1)GVCの再編に如何なる影響を与えているのか、さらには(2)発展途上国におけるGVCの参加とアップグレーティングに如何なる影響を与えているのか、この2点を検討したい。

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