パブリックウェルフェア領域の世論形成に与える「専門家」の役割

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★松村 尚子(法学研究科・教授)
 赤星 聖(国際協力研究科・准教授)
 小林 義(Univeristy of Leeds/School of Politics and International Studies・
      Associate Professor in Global Political Economy and Development)
 李 孝連(東邦学園大学グローバル・コミュニケーション学部・専任講師)

研究の目的と概要

 本研究の目的は、感染症・環境・人権などの国際公共問題の解決をめぐる世論の形成に「専門家」が及ぼす影響を実証的に明らかにすることである。感染症・環境・人権に関する政策は、一般の人々の生活に大きな影響を及ぼす一方、技術的な判断を伴うため、人々が意見を持つことが難しい分野である。そこで、専門家の助言や意見が世論に影響を与えると考えられる。しかし、専門家といっても、政策エリート(国/自治体)、学者(自然科学/人文社会科学)、国際機関、NGOなどさまざまな主体が存在し、さらに、コロナ禍で見られたように、専門家の意見をめぐって世論の分断が生じることもあるなど、彼らの助言が世論に及ぼす影響の実態は明らかではない。本研究では、サーベイ実験を用いた世論調査を行い、1. どの専門家(種類・レベル:ローカル/ナショナル/グローバル)が、2. どのような状況(専門家の意見が一致している場合/していない場合)のもとで、3. なぜ世論に影響するのか。そして、4. 専門家の助言を受け入れるのはどのような人々か。さらに、5. 問題領域によって助言の世論に対する効果は変わるのか、について明らかにする。国際比較の観点から、日本以外の国(韓国、英国、米国が候補)でも調査を行う予定である。
 本研究は、国際公共問題の解決に欠かせない世論という観点から、専門家の情報発信や異分野の専門家の共創の在り方について、エビデンスに基づく政策提言を行うことを目指す。メンバーには、サーベイ実験を使った多国間の世論研究の実績を持つ小林、松村、李が含まれ、国際保健および人間の安全保障を専門とする赤星が理論的な見地を提供する。研究基盤は既に整備されており、国際共同研究として進めるものである。

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