副センター長の藤岡秀英教授が2021年7月21日に行われた学長定例記者会見において本センターの研究プロジェクトである「『夢前花街道事業』と『加点式健診事業(よいとこ健診)』の連携による地域活性化実践研究」について発表しました。
学長定例記者会見リンク:https://www.kobe-u.ac.jp/info/usr/press/press_20210721.html
<概要>
本研究事業は、社会システムイノベーションセンターのプロジェクトとして、医学研究科・地域医療教育学部門の岡山雅信教授とともに2018年から取り組んでおり、日本生命財団と科研費基盤研究(B)による助成を得ています。
まず、「加点式健康診断(よいとこ健診)」は、岡山雅信教授、八幡晋輔助教によって考案された新しい「ほめる」健康診断です。この健診では様々な健診票を参考にした問診票で、家族、職業、運動量、人付き合いなどから健康や活動、心の状態を尋ね、良い部分を見つけ出します。その結果をもとに、健康にプラスの効果をもたらす部分をほめます。ほめられることにより受診者の健康づくりへの意欲を引き上げ、「地域のイベントに参加しよう、運動しよう」と思うようになります。つまり、健康づくりへのモチベーションアップがねらいです。なお、この「よいとこ面談」は研修を受けた学生が担います。
藤岡秀英副センター長は「経済社会政策」を研究テーマとして、医療保険と介護保険の研究を土台に「地域創生政策」の理論化と実践に取り組んでいます。この「よいとこ健診」も、姫路市夢前町山之内地区の「夢前花街道事業」という地域創生事業の一環として進められています。「夢前花街道事業」は、地域住民と大学生がさまざまな舞台で交流を深める取り組みです。例えば「盆踊り再開事業」「カモミール収穫ボランティア」等があり、それら事業を通じた、大学関係者と地域住民との交流が「よいとこ健診」の実施につながっています。
<主な取組>
一般的な健診は、健康上の問題点を発見するものですが、「よいとこ健診」は、まったく逆に「良いところをほめる」ことで、フレイル予防、健康づくりのモチベーションアップにつながる「行動変容」をうながすところに新規性があります。「コミュニティ活動」への積極的な参加と地域活性化に結びつけることが目的です。これら一連の取り組みを通じて、健康診断の受診率と高め、フレイル予防の向上を目指しています。中長期的には、夢前町での一人当たり医療費・介護費の抑制につながるなど、社会的課題解決への貢献が期待されます。
特徴として異分野研究者・地域・産官学の協働があげられます。本事業は社会システムイノベーションセンター、経済学研究科、医学研究科、甲南女子大学、兵庫教育大学、立命館大学から研究者11名と院生、学部生が多数参加しています。現在、岡山大学医学部、鳥取大学医学部からも参加者が加わっています。そして、「(株)香寺ハーブガーデン」をはじめとする地域の民間企業や、夢前包括支援センター、姫路市中央保健センター、連合自治会、長寿会(老人会)の地域組織も参画しています。産官学・地域社会と共創した実践的研究・教育です。
また、2020年度には、コロナ禍のなかでも、ITを活用した「オンライン健診」を開発し、9月と3月に夢前町前之庄公民館にて、Zoomを使った「よいとこ健診面談」を2回実施しました。これにより全国のどこでも「よいとこ健診(加点式健診)」が可能であることが実証されています。
<参考URL>
「よいとこ健診」とは: https://www.med.kobe-u.ac.jp/dcme/yoitoko/