【開催報告】東日本大震災復興10年記念市民フォーラム「東日本の復興の道のり、そしてアジアの災害復興の今」が開催されました

日時:2021年3月7日(日)10:00-12:00, 13:00-17:00

会場:オンライン方式

主催:神戸大学社会システムイノベーションセンター 
   岩手大学地域防災研究センター

フォーラム詳細:ワークショップ・セミナーをご覧ください。

開催内容:
 東日本大震災復興10年に際し、復興の検証と残された課題を論じる市民フォーラムを開催し、210名余りの参加登録を得た。第一部(午前)では、被災大学間の研究連携を継続する神戸大学と岩手大学の研究陣が共同し、地域防災、生活復興、まちづくり、経済復興など「復興」の主要な側面に光を当て、東日本大震災復興十年の研究成果を総括した。海山の実りに依拠した震災前の暮らしが都市型貨幣経済モデルに転換された生活の圧迫、「多重防災」を標榜する安全対策工事の長期化による被災者の生活再建の遅れ、またその安全基準が明治三陸津波基準(レベル1)に留まり真の安全が実現されない限界、これらに起因する人口流出や地域経済の低迷等が、被災地における質問紙調査の結果に基づき指摘された。
 第二部(午後)では、2004年スマトラ津波被災地のシャクアラ大学、2008年四川大地震被災地の四川大学、2011年クライストチャーチ地震被災地のカンタベリー大学、2013年台風ヨランダ被災地のフィリピン大学の研究者が一堂に会し、神戸大学・岩手大学の報告者と共に、アジア太平洋各地の大規模災害復興の課題について共通の質問紙調査の結果に依拠した報告を行い、パネル・ディスカッションで議論を深めた。共通テーマとして、安全対策と生活再建のトレードオフ、安全基準の選択、コミュニティ参加型復興の成否が論じられた。共通の傾向として、復興初期には被災者は災害直後は個々の生活再建に没頭し地域の安全対策を行政任せとする傾向もあるが、時の経過とともに安全への希求が強まり、人口流出傾向が見い出された。他方で、政府の安全対策が生活基盤や生態系を度外視して進む東日本の状況が指摘された。安全と生活・環境等とを同時追求しうる復興の在り方が、継続的検証課題として残された。