経済社会における不正行為の要因の実験研究

構成メンバー

★はプロジェクトリーダー

★瀋 俊毅(経済経営研究所・教授)
 下村 研一(経済経営研究所・教授
 高橋 広雅(広島市立大学国際学部・教授)
 Marc Oliver RIEGER (University of Trier Department of Business Administration・教授)
 Mei WANG(WHU – Otto Beisheim School of Management Behavioral Finance・教授)
 Yongyou NIE(上海大学経済学部・教授)


研究の目的と概要

自動車メーカーの無資格者による完成車検査問題や鉄鋼メーカーによる製品品質データの改ざんなど、不正に関する報道を目にしない日はない。当然、不正行為は経済や社会に大きな損害をもたらす。それゆえ不正行為のメカニズムの解明は社会をより良くしていくにあたって重要である。不正行為に関して、ノーベル経済学賞受賞者のGary S. Beckerが提唱したSimple Model of Rational Crimeでは、不正行為の決定には3つの基本要素:(1)不正から得られる便益;(2)捕まる確率;(3)捕まった場合に予想される処罰、がある。このモデルでは、人々はこれらの要素を総合的に判断し、費用便益分析のもとに不正するか否かの決定を下す。しかし、いくつかの先行研究によれば、これらの要素が実際にはあまり不正に影響を与えないということが分かっている。
 本研究の目的は、以下の2つの問いを実験により探ることである、第一は環境要因のほか、国籍、性別、個人のリスク選好・時間選好、IQ(Intelligence quotient)/EQ(Emotional quotient)/SQ(Social quotient)/PQ(Potentiality quotient)/HQ(Humanity quotient)/CQ(Curiosity quotient)といった個人属性の要因が不正行為の決定にどのような影響を与えるかという問い、第二は環境要因が個人および集団の不正行為の決定に与える効果の違いはどこにあるかという問いである。本研究では、不正行為が起こりやすくなる要因を実験で明らかにし、その知見を個人および集団の行動をより望ましいものに変えるような政策立案に役立てたいと考えている。

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