医療材料・病院マネジメント・医療保険制度改革に関する研究
部門長
藤岡秀英
所属 | 神戸大学 |
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学域 | 経済学域 |
職名 | 教授 |
学位 | 神戸大学 博士(経済学) |
研究内容
本部門では、経済社会的な要因分析を通じた疾病分析から健康管理への政策的インプリケーションを導くこと、また、ICT 活用を通じて医療保険、介護保険の財政改善につながる課題の解明など、医療と介護の各システムにかんする総合的な調査研究を行う。2023年度は、以下の3つのグループで学際的研究と社会実装につながる実践研究が展開される。 (1)「ヘルスケア組織マネジメントシステム」研究、(2) 「複合診療データを用いた職場環境改善のための実証研究」、(3) 「『加点式健診事業(よいとこ健診)』による地域活性化と大学教育の効果検証」。
(1)「ヘルスケア組織マネジメントシステム」では、病院マネジメント高度情報化に関する研究が取り組まれている。医療組織が直面する系統的なマネジメント上の諸問題について医学、経営学の学際的観点から課題を認識し、産学官の交流・連携を通じて課題解決に向けた方策を研究する。本共同研究を通じて、医療経営管理および医療組織・専門職人材に関する医学・看護学・経営学の学際的研究の発展と、民間・公的病院との産官学連携による社会実装が目指されている。
(2)「複合診療データを用いた職場環境改善のための実証研究」では、民間事業者との共同調査を通じて、職場環境とメンタルヘルスの因果関係の解明につながる調査研究が行われている。2023年から「ストレスチェック」に研究グループとして独自に作成した設問集を加えて、「メンタルヘルスと職場環境」をテーマとする調査に取り組んでいる。これまでの成果は専門誌である「労働安全衛生研究」に掲載され、健康経営をめざす企業での取り組みについても「季刊社会保障研究」で公表されている。
(3)「『加点式健診事業(よいとこ健診)』による地域活性化と大学教育の効果検証」では、経済学部、医学部地域医療教育部門、甲南女子大学、兵庫教育大学、人間総合科学大学・人間科学部の研究者と、本学の各学部の大学院生・大学生をはじめ、自治医科大学、甲南女子大学等の大学生が「学生企画グループ」を結成し、「よいとこ健診」の社会実装に取り組んでいる。これまで2018年12月から「よいとこ健診」を、9回にわたって実施し、特定健診・高齢者健診への受診者数の増加、「フレイル予防」へのモチベーションアップの効果、健康づくりへの行動変容の効果が実証されている。2023年度は姫路市による「大学発まちづくり研究助成事業」からの助成を受け、中央保健センター安富分室、夢前地域包括支援センターをはじめ、夢前町の地域住民組織との連携・協力関係が構築されている。