市場構造と経済主体の行動を分析しイノベーションの可能性を研究

部門長

佐藤隆広

所属 神戸大学
学域 先端経済経営研究学域
職名 教授
学位 大阪市立大学 博士(経済学)

研究内容

 様々な社会・経済問題に即して、市場構造と経済主体の行動を分析しイノベーションの可能性を研究している。本部門の研究テーマは、(1)「コロナ禍での交通需要の激減と回復:国際比較を視野に入れて」、(2)「少子高齢化社会における多様な労働者の参加と働き方に関する実証的研究」に分けられる。
 (1)の研究は、つぎの通りである。新型コロナウイルスの流行により、鉄道をはじめとする交通需要は激減した。本研究では、この需要の減少と今後の回復見込みについて、検討することを目的としている。本研究メンバーは関西地域の鉄道事業者とともに実際のデータも使って分析し、議論できる機会もあるため、本研究は実際の問題の解決に直結する研究課題である。また、幅広い学術分野からの貢献も期待できる。なお、本研究課題は、社会システムイノベーションセンターの「テレワークに着目したポストコロナ時代の生活意識調査」として行われていたものとも関係している。そこで入手したデータも分析に活用できる。さらに、本研究は国際比較も視野に入れている。国際比較を視野に入れて、実際のデータを用いることで、交通需要の本質理解につなげ、今後の交通政策への知見を得ることが期待できる。
 (2)の研究テーマはつぎの通りである。本研究プロジェクトでは、多様な労働者の労働市場への参加の規定要因と、それが企業パフォーマンスに与える効果の検証等を通じて、人口減少と高齢化が進む日本の経済社会におけるイノベーションの創出ならびに多様な働き方の推進について示唆を得ることを目的とする。具体的には、第1に、高齢者や障がい者の雇用促進が企業業績や生産性に与える影響について、主に企業ミクロデータを用いて検証する。第2に、有期雇用から無期雇用への転換の要因や、低賃金労働と資本の代替関係、職場環境の労働者のwell-beingへの影響などについて主に個人のミクロデータを用いて検証する。これらを通じて、少子高齢化社会における多様な労働者の参加と労働者のwell-beingの向上に係る施策のあり方を提案する。
 本部門では、これらのプロジェクトから一般性のある市場現象の法則の分析、理論的な体系化に関する研究も行うことを目標としている。様々な社会・経済問題に即して、市場構造と経済主体の行動を分析しイノベーションの可能性を研究している。